人間劇場とは

反常識的なもの、よけいなもの、風変わりなもの、猥雑なものへの賛歌

ようこそ、人間劇場へ。

当サイトが扱う主題は、ずばり「人間」です。

とはいっても、このサイトのコンテンツには、立派な人の話、健全な人の話、格調高い批評、あるいは美しい動画や画像はあまり出てきません。

というわけで、ご自分を「正しく真っ当な人間」だと思われている方にとっては、不愉快千万なテキストや動画、画像だらけなのかもしれません。

ご容赦ください。

私どものコンセプトは、人間の弱さや愚かしさ、劣情や奇妙なものへの偏愛といったものへの全肯定であり、とりわけエロいものには力を入れたいと思います。

カトリックでは人間の七つの罪、すなわち「暴食」、「色欲」、「強欲」、「憤怒」、「怠惰」、「傲慢」、「嫉妬」を固く戒めていますが、そんな戒めは『人間劇場』にとって「屁のツッパリ」にもなりません。あっ、品のない表現で申し訳ありません。

当サイトにたどり着かれたのも何かのご縁、ともあれ一度覗いてみてください。

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人間劇場
青春

第2回:少女と怪人村西とおる

18歳の美少女は32年後のいまでもそのときのことを鮮明に憶えていた。

「ずっとこっちを見てるんでなんだろうと気になってたんです。(村西)監督をはじめて見たとき、ただもんじゃない、目を見てると裸見られてるような気がしました。若くてまだ余計なこと考えなかったから、素顔がわかるのかしら」

 

少女の直感というのがある。

昔から世の中の大きなうねりを真っ先に感知するのは10代の少女たちであった。

1963年はその前年デビューしたビートルズがブレイクした歴史的な年であった。

世に言うビートルマニアが誕生したきっかけが、1963年10月13日放送、「ザ・ロンドン・パラディアム」という番組だった。

演奏会場のロンドン・パラディアムに入りきれなかった少女たちが悲鳴をあげて劇場を取り囲み、マスコミははじめてビートルズというバンドに熱狂する少女たちをビートルマニアとよんだ。その記念すべき誕生の日だった。

このときの記録映像は発掘されていないが、音源と写真だけは保存されている。

「フロム・ミー・トゥー・ユー」からはじまる演奏で、途中司会進行をつとめるのはポールなのはいつものパターンだ。おおぜい詰めかけた観客の熱気と全国向けテレビ中継されているせいで、ポールがとても早口だ。愛すべきベーシストは緊張するとベースプレイとしゃべりが早くなる癖がある。

リバプールから出た4人組がまさか20世紀最大の音楽家になるとは、大人たちは夢想もしなかっただろう。

 

新奇な物に対する少女の直感というのは、歴史的予感に通じる。

1986年初春、18歳の美少女が渋谷のプールバーで直感したことも正しかった。

「僕とお仕事しませんか?」

18歳の美少女に”監督”と呼ばれる男が仕事の話を切り出した。

「ビデオのお仕事なんですね」

猫なで声で監督はそう説明した。

実はこのときすでに美少女は、ミスクリスティーヌという大手AVメーカーから橋下ルミという芸名で1本だけ出演していた。

1986年当時、AVといえばほとんどが非本番系、いわゆる擬似本番とよばれるものが主流だった。

美少女はその愛らしさから、ハードなからみなどやらなくても、十分男たちのニーズをつかんではなさないものがあった。

この監督が性交を意味する本番作品に出演するように美少女を熱心に口説く必然性はそれほど高いとはいえなかった。

1986年は、後にバブル経済とよばれる、株と不動産資産が極端に膨れあがった日本有史以来もっとも金満化した時代の初年度にあたった。

週刊誌で女子大生ヌードが掲載され、著名女性文化人も裸になり、テレビやラジオでも女子大生が進出してきた。

恥ずかしさは唾棄すべき感覚であり、景気も人々も躁状態に突入していた。AVはこの時代に花開いた新しいメディアだった。

「そのころ、父が厳格過ぎてわたしは反抗したことがなかったんです。反発するようになっても、当たる場所がない。両親はわたしを薬剤師にさせたかったみたいですね。女性の仕事として、生活に問題なく仕事ができるのが薬剤師だと思っていたから。でもわたしは理数系に弱いから、(薬剤師に)なろうとも思わなかったし。スカウトしてくれたNさんが、脱ぎの仕事のことをわたしに話してくれたときも遠回しなんですよ。子どもだから何を言いたいのかわからない。はっきり言ってほしい。それで、”脱いだほうがいいと思う”と。”早く言ってください”ってこちらから言いましたよ。それでヌードの載ってるグラビア見せてくれたんです。抵抗はすごくあったんですけど、母親が、”若いときにプロのカメラマンで撮ってもらったほうがいいわよ”と言ってくれたし、それで悩みながらも出ました。本名で出ました。そのあと、橋下ルミ名義でビデオにも出たんです。芳友社。島村雪彦監督の作品ですね」

目の前の監督とよばれる男は、美少女を熱心に口説きだした。

その日は話を聞くだけだったが、翌日、早稲田鶴巻町の事務所に呼び出され、そこでも熱心に口説かれた。

美少女がプールバーで出会った監督は、このころすでに非本番系を見限り、真性の性交をおこなうハード路線に大きくかじをきったところだった。

「来週、黒島という素晴らしい南の島で撮影するんです。あなたはとてもラッキーです。13名が撮影する予定でもう人数は締め切ったんですけど、あなたもその中に入ってるんです」

 

(続く)

 

 

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